サナアお買物＆食事事情（２０００年６月＜３＞）

５月号でも報告しましたが、ここの物的環境はウズベキスタンに比べると１００倍恵まれています。街に出るのが楽しみになるほどですもの。

まず、スーパーがすごい。サナアで一番充実しているスーパーマーケットは｢アル・ホダ｣と個人的には思っています。そりゃあ日本のスーパーとは比較になりませんが、そこには一応ありとあらゆるものが揃っている感じがします。野菜やお肉、文房具、缶詰、お菓子類、洗剤類、食器、更に生クリームやチーズクリームまである！　特筆すべきは、アル・ホダのみならずスーパーにはなぜか電化製品も置いてあって、実際私たちもオーブントースター、電動泡立て器、瞬間湯沸かし器をスーパーで買いました。アイロンや圧力鍋、ミキサーやフードプロセッサーなんてものまであるのです。しかも、ちゃんと日本、ドイツ、フランスといったまともな国の製品です。

ここに来れば取り敢えずは何でも揃う
「アル・ホダ・スーパーマーケット」。

最初の頃のタシケント生活であれほど苦労した紙類も豊富です。トイレットペーパーやティッシュペーパーなんて３種類以上揃っています。来た当初は、スーパーで山積みになっているティッシュペーパー類を目の当たりにしても、ウズベク時代の後遺症で、｢いつか忽然と消えるのでは｣という恐怖から逃れられず、買い溜めをしようとしたところ、｢それっていかにも発展途上国から来た人間のすることだよなあ。気持ちは分かるけど、ここはそういうことないから安心して｣と前任者に言われ、正気に？返ったのでした。

安心して食べられる冷凍食品も山のようにありますし、牛乳も何種類もあります。ここでもやはり地元産の牛乳は外国人には不人気で、サウジアラビア製のロングライフの牛乳がよく購入されているようです。デンマーク産のモツァレラチーズやピザ用チーズを見つけた時には目を剥いてしまいました。

蛇足になりますが、以前はこのアル・ホダ・スーパーよりも商品が充実していたスーパーがあったそうですが、我々が着任する前の年に爆発を起こし、木っ端微塵となりました。事件は未明に起き、誰もが｢すわっ、テロ事件か？！｣と緊張し、実際にそのスーパーの向かいに位置するカナダの石油会社のセキュリティーの人が何人か死んだり、周囲の家のガラスが吹き飛んだりしたのでした。が、真相はとてもイエメンらしいもので、そのスーパーのオーナーが保険金搾取を目論み、ちょっと火災を起こすつもりが、なぜかガス爆発を起こしてしまったというのが専らの噂です。うーん、すごいぞ、イエメン。

レストラン環境もウズベキスタンの１００倍恵まれています。イエメン料理以外のレストランは、ここの相場に比べるとやはり高いのですが、それでもお金を出せば食べられるという状況は、我々にとって有難いものです（特に私にとって。なぜならその分夕食を楽チンできる可能性が増えるから）。

一番よく行くのは中華レストランで、北京からコックさんを呼んでいるそうで、まあまあおいしいです。この間は｢チンジャオロースー｣を注文したくて、社長の中国人のおじさんに一生懸命二人で｢チンジャオロースー！｣と伝えるのですが、全然理解してくれない。よもや駄目かと諦めかけたところ、｢あぁ、チンジャオロースー！｣と、とても正しい発音で言ってくれ、ようやく注文できました。この発音の具合を文字ではお伝えできないのが残念です。

｢北京菜館｣という名の中華レストラン
６０ｍ通り（通称スィッティーン）から少し入った
ところにあります。

日本人にとって助かるお店として、もう一軒韓国レストランがあります。ここもやはり高いのですが、ビビンバとかチゲといったお馴染みのものから、えび丼やうどんといった日本食もおいてあります。ここの常連さんになると、丸々と太った大根や白菜を時期になると貰えます。イエメン人の農家と契約して特別に作らせているようです。

韓国レストランでの食事。
ハッダ地区にあり、ゼロ・ストリートに看板が出ています。

それから、なんとピザハットとアイスクリームの３１（サーティーワン）もあるのです。３１では、種類によってはたまに品切れになることもあるようですが、今までのところ私たちはそのような憂き目に遭っていません。

他にも、べらぼうに高いですけど、シェラトンホテルやタジシェバホテルというインド系のホテルのビュッフェもあります。先日、シェラトンホテルでイタリアン・フェアがあり、好評だったので、二人で勇んで出掛け、おいしい生ハムをたっぷり食べてきました。

この両ホテルでは、フィリピン人バンドによる生演奏とベリーダンス・ショーが大体毎晩催されています。このベリーダンスのお姉さんが、すごいたぷたぷのお腹をプルプル（というかブルブル）揺すりながら踊る姿は、やはり一見の価値があります。踊りも上手なんでしょうけど、私はついビキニパンツの上に乗っているお腹の肉やお尻に目が行ってしまうのでした。ちなみにアラブ諸国では、女性は太っている方が魅力的とされています。私なんかは問題外の外というわけ。

アラブの料理では、レバノン料理が一番おいしいとよく言われます。そして確かにおいしいです。豆のサラダは私のお気に入りです。イエメン料理は、今までに２回イエメン人家庭で食べさせてもらいました。日本人の口に合う料理が多いです。ただ、羊の肉の塊がぼんという料理はちょっと引いてしまいます。みんな脂で手をギトギトさせながら、ばくばく食べるのですが、またイエメンの羊は臭くないと言われているのですが、見た目では食欲をそそってくれません。イエメン料理にはホブズと呼ばれる薄いパンが必ず付いていて、サラダでもお肉でもそれに包んで食べるのが基本のようです。イエメン料理を紹介するにはまだまだ経験が足りないので、もう少しお待ち下さい。いずれにせよ、ウズベク時代に比べて外食が増えたことは間違いありません。