王様のリゾート「ドバイ」（２００１年４月＜３＞）

４月１１日〜１４日とアラブ首長国連邦のドバイに行ってきました。｢中東の香港｣と最近では女性雑誌に取り上げられるようになったドバイへは一度行ってみたかったので、私はウキウキでしたが、夫は心の中で｢あんまり買物をしないでくれよ｣と願っていたことでしょう。

いやー、すっかりイエメンに慣れてしまったようで、ドバイ空港に到着した時からおのぼりさんになってしまいました。空港はぴかぴかだし、全てがシステマティックに運ぶし、見掛けるアラブ人は皆小奇麗で、外に出てみれば、道路の脇にはまるで絨毯を敷いたかのようにきれいに花が植えられています。

汚いダッバーブ(乗合タクシー)は１台もいなくて、走っている車のほとんどが新車で、おまけにベンツとかＢＭＷといった高級車が目立ちます。みんな車線を守って真っ直ぐに走るし。その内高層ビル群が現れ、本物のケンタッキーを始め(サナアには｢ケン トッキー｣がある)、サンドイッチのサブウェイまであるではありませんか！

今回はビーチ沿いにある｢ジュメイラ・ビーチ・ホテル｣に滞在しました。部屋の眼下には真っ青な海が広がり、ペルシャ湾がこんなにきれいとは知りませんでした。３泊４日と短かったのですが、２日間はビーチとホテルの隣りにあるウォーターパークで遊び、残りの日は丸１日ドバイで一番大きいショッピングセンターで過ごしました。その合間に日本食を２回食べ、話題の映画｢ハンニバル｣まで見てきました。

ウォーターパークでは、北米を除く世界で一番高いとパンフレットで謳っているウォータースライダー(水の流れている滑り台)に挑戦してきました。目算で５階建てぐらいの高さはあると思います。これが本当に怖くて、身体が浮いて飛び出てしまう恐怖を味わい、｢キャー｣というカッコイイ叫びではなく、心底怖い時に出る｢ヒー｣というような情けない叫び声を上げてしまい、順番を上で待つ夫に聞かれ、｢随分と変な声を出していたね｣とからかわれたのでした。

海ではバナナボートに乗りました。これはバナナの(というよりは鉛筆に近い)形をしたゴムボートにまたがって乗り、モーターボートで引っ張ってもらう遊びです。湾内で家族を乗せたバナナボートが周遊しているのを見て、気持ち良さそうだったので、私も希望したのですが、私たちは湾の外に連れて行ってもらいました。

それが間違いの素でした。広い外海に出たら突然スピードを上げ、モーターボートの上げる波で、後ろのバナナボートは水上スキー並みのアップダウンです。昔通った中型バイクの免許を取るための講習を思い出し、内股に必死に力を入れてバランスをとるのですが、モーターボートのおっちゃんも意地悪で、右に左にと揺するのでとうとう海に投げ出されてしまいました。波が結構高くてバナナボートにたどり着くのも大変で、鼻とのどは塩水でひりひりするし…。こんなに激しいバナナボートは夫共々初めてでした。

滞在先のホテルの隣に立つ、
ドバイで最高級のホテル
１泊１０００USD以上！

そして、ドバイといえばゴールド・スーク。通りには２００軒ものお店が並んでいるのだそうです。こっちの金は２１金以上が主流なので、とても濃い黄色に映ります。日本人にはちょっとどぎつく感じられるかもしれません。そのギラギラの金が２００軒以上の店先に飾られているのですから、なかなかの壮観です。

当初は冷やかしのつもりが、結局｢記念に｣ということで透かし彫りの細工がきれいなバングル(腕輪)を買ってしまいました。＄３８５を＄３００に値切ったのですが、果たして上出来なのか、それともまだまだ甘いのか…。インド人相手の交渉はとても疲れるものでした。どのお店も外国人を始めアラブ人たちの客が入っていて、一体一晩でどれくらいの金が取引されているのだろうと思いました。

話には聞いていたのですが、一番不思議というか驚いたことが、街で働いているドバイの人(｢エミレーツ人｣とでも言うのでしょうか)を一人も見掛けなかったことです。さすがに官憲部門は自国人で、空港のイミグレーション(出入国管理)にはいましたが、その他には彼らの労働している姿を見ずじまいでした。

街中やホテルで働いている人は、インド人、パキスタン人が殆どで、女性ではフィリピン人、中国人、ロシア人がいました。自国人は役所でも企業でも上層部を占めていて、肉体労働は一切しないのでしょうか。平日の昼間にショッピングセンターで見かけるエミレーツ人は、男の人同士で手をつないでぶらぶらしたり(この光景はアラブでは普通)、これまた男同士でカフェでケーキを食べています…。言葉は悪いのですが、正直言って｢金満国｣とか｢石油の成り上がり国｣という言葉がどうしても浮かんでくるのでした。でも楽しい滞在だった！